ビジネスモデル図解とCVCA(Customer Value Chain Analysis)を比較する
最近書店で『ビジネスモデル2.0図鑑』をよく見かけます。大変な良書のようです。
ビジネスモデル図解は製品設計手法であるCVCA(Cusomer Value Chain Analysis)と発想が似ていると思われましたので比較してみたいと思います。素人故に理解の浅い部分や多数の誤解があるかと思います。予めお詫び致します。
ビジネスモデル図解とは
以下の記事に説明がありました。チャーリーこと近藤哲朗氏によって考案されたアイディアです。
チャーリーさんの"ビジネスモデル図解"とは、ビジネスにおいて必ず存在する3つの概念(利用者・事業・事業者)についてそれぞれの関係性を、独自作成したデザインパーツで、図式化すること。
同じ記事に例が載っていたので貼り付けます。
上段が利用者、中段が事業、下段が事業者で別れているようです。
図形やコメントを使って大変理解しやすくビジネスモデルが図解されています。
またビジネスモデル図解の目的としては
「ビジネスに感動したからそれを誰かにわかりやすく伝えたいという強い気持ちから図解するようになりました。 」
とありました。伝えることが目的であればこの美しいレイアウトも納得です。
CVCAとは
CVCA(Customer Value Chain Analysis)は製品設計手法の1つです。私はDSMの勉強をしている中で存在を知りました。
CVCAについては日本語の文献が少ないので上記論文等から私の解釈で日本語訳して説明したいと思います。この論文自体は2006年に出版されたスタンフォード大学のKoske Ishii 先生によるものです
Customer Value Chain Analysis(CVCA)は製品またはプロセスと、それに関わるステークホルダーの関係を図解するツールである。
CVCAは設計手法であるDesign for X'(DFX)ツールの一つである。
CVCAの有用な点は3つ.
①製品のビジネスモデルを確認できる。
②誰が主要なステークホルダーなのかを認識できる。
③製品が有する価値を明確化できる
CVCAの例
以下に論文から引用したCVCAの一例を示します。ペースメーカーの警報システムのビジネスモデルのようです。
「ビジネスモデル図解」と比較すると段分けもされてなく文字が中心でビジュアル感が薄いですが、各ステークホルダーとお金、製品、情報などの関係性が明示されています。
CVCAの作り方
論文に従ってCVCAの作り方を見てみましょう。
例はコンビニに置く自動販売機です。この自動販売機のメーカーが製品設計のためにCVCAをしたと考えます。
a:まず初期のビジネスモデルを定義します。
まず自身である自販機のメーカーと、最終的な消費者であるSoft drink Consumerが存在することが明らかなのでそれを描画します。
b:関係者を描画する
メーカーとエンドユーザー以外のステークホルダーを図中に記入します。
c:ステークスホルダー同士の関係を線でつなぐ。
関係の有りそうなステークホルダー同士を矢印つきの線でつなぎます。
d:ステークホルダー同士の関係性を特定する
各ステークホルダーの役割を特定するため、先程つけた矢印と線が具体的に何を示すかを考えます。典型的にはお金、商品、ハードウェア、苦情(Complaints)などです。さらに視認性を良くするためにそれぞれにアイコンを付与します。
e:結果を解析する
作成したCVCAを見て結果を確認します、論文では、この図から自販機メーカーの主要ステークホルダーはVending Operator とSoft drink Bottlerになりますので、彼らの要求を聞きながらの製品設計が望ましいと結論付けています。
ビジネスモデル図解とCVCAの違いは
私の解釈ですが違いは下記になります。
- CVCAステークホルダーを中心に描いている(ビジネスモデル図解はステークホルダーとそのプロダクト両方を描画している)
- CVCAはあくまで製品設計に役立てるためのもので、他者に伝える意図はない(ビジネスモデル図解は他社に伝えることを志向しておりそのためデザインが美しい)
他にも違いは多々あるかと思いますが大きくはこの2つかなと思います。
今回はここまでにします。