最近リスクマネジメント系の本を読んだので、これを基にリスク分析の概況をまとめてみたいと思います。
Risk Analysis: Assessing Uncertainties Beyond Expected Values and Probabilities
- 作者: Terje Aven
- 出版社/メーカー: Wiley
- 発売日: 2008/05/19
- メディア: ハードカバー
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リスクとは
一般的には『結果の期待値』 ただしリスク=確率×結果 と考えてはいけない。 これには"不確かさ" ≒ 確率分布の分散? が考慮されていないからである。
リスク分析の目的
『意思決定の手助けをすること』
リスク分析の構成手順
- 問題低議、情報収集、組織の立ち上げ
- 分析手法の選定
- 起因事象(initiating events)の特定
- 原因分析、結果分析
- Risk Picture の作成
- 選択肢の比較と対処法の評価
- 責任者のレビューと判断、決定
リスク分析手法
Corse risk analysis
スプレッドシートにハザード、原因結果を書くような定性的なもの
FMEA
システムの各コンポーネントの状態からシステム全体の挙動を導く手法。定性的なもの。コンポーネント同士の相互作用が強い場合はうまく機能しない。
HAZOP
各種ガイドワードのしたがって原因と結果を導く定性的な手法
SWIFT
「もし~ならどうなる?」と考えて起因事象を特定する。定性的。HAZOPと似ている。
FTA
And/Orゲート等記号を用いてトップイベントから演繹して原因事象を導く。定性的な分析もできるし定量的な分析もできる強力な手法
ETA
FTAとは逆に起因事象から結果を導くための手法。これも定性的・定量的な分析ができ強力。
ベイジアンネットワーク
定量的な解析手法。条件付き確率を用いて複雑な事象の解析ができる。
モンテカルロ・シミュレーション
定量的な手法。乱数を用いたシミュレーションを行う。
リスク分析のコツ
リスク分析は意思決定を助けるために行うのだから意思決定の前に実行しなくてはならない。タイミングが重要。故に十分な情報が揃っていない状態でもリスク分析しなくてはならない。そういう意味では、情報が揃わないと実施できない定量的な手法よりも、早期に実施する定性的手法のほうが価値がある。
今後の発展の方向性
"不確かさ" は"確率"とは異なる。今後はより"不確かさ"が増してくるためそれに対応したリスク分析手法が必要とされている。
キーパーソン
各種論文を調べてみると『Terje Aven』氏の論文の引用数が多くまた著書も多いので、彼がこの分野の第一人者だと思われる。
今回もメモ程度で申し訳ありません