システムとモデリング

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書評:PROJECT MANAGEMENT FOR THE UNOFFICIAL PROJECT MANAGER

プロジェクトマネジメント洋書の書評になります。

最近出版される技術系和書は入門書が多く、洋書と内容面で隔たりを感じています。プロジェクトマネジメント分野の洋書を読むのは今回が初めてですがAmazonでこの本が人気だったのでKindleで購入してみました。Kindleではわからない単語をその場で和訳できるので比較的サクサク読めました。もともとの英語も平易な単語が多く全体的に読み易かったです。

 

Project Management for the Unofficial Project Manager: A FranklinCovey Title

Project Management for the Unofficial Project Manager: A FranklinCovey Title

 

 内容

この本の内容は次の言葉に集約されています。

People + Process = Sccess 

 噛み砕いて言うと、リーダーシップ(People)だけでも、技法(Process)だけでもプロジェクトを成功に導くことはできない、その両方が必要、という内容です。

 リーダーシップとしては次の4つの態度を取ることが必要と説いていて、本書で繰り返し繰り返し説明されています。

  • Demonstrate respect
  • Listen first
  • Clarify expectation
  • Practice accountability

プロセスでは各フェーズごとに必要なスキルセットとツールとその例が物語形式で紹介されています。内容はPMBOKに準拠しています。

  • Initiate
  • Plan
  • Execute
  • Monitor and Control
  • Close

ツールはステークスホルダー分析、要件定義、WBSリスク管理など標準的なものですがドキュメントの例が載っているので実際に再現することが可能なようになっています。

最後に、タイトルの「Unofficial Project Manager」とは「プロジェクトマネジメントの教育を受けないままプロジェクトマネジメントを任された人」のことです。そういう意味では日本のプロジェクトマネージャーの大半が「Unofficial Project Manager」なのではないでしょうか。

和書と比べてどうか?

 私の勝手なプロジェクトマネジメント系和書の印象ですが、だいたい「ただのPMBOKの解説書」と「著者固有の経験談」の両極端に大別されると思います。前者は実施例に乏しく全く実用的でない。後者は著者の経験が技術として抽象化されておらずただの場当たり的なノウハウが貯まるだけ、加えてIT企業の例が大半で他業種に活用し辛いといった印象です。プロジェクトマネジメント本として求められるのはこの両者の中間と思うのですが、この本はまさにそれに該当する本だと思います。このような位置付けの本は和書ではなかなかお目にかかれないと思います。あえて和書で挙げるなら、下記の本はプロセスに重点を置いていますが、かなり近いと思います。

 

 ただし、わざわざ英語でこの本を読むべきかどうかと言われると微妙です。日本人著者でない翻訳書には優秀な本も多いので、まずそちらを読まれたほうが良いと思います。一例ですが下記の本などはかなりおすすめです。

 

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)

 

 

今回はここまでにします。