DSM・ネットワーク・グラフ理論関係 読んだ本まとめ
今回は最近読んだDSM・ネットワーク関係、グラフ理論関係の本をまとめていきます。
備忘録的な内容になりますのでご容赦ください。
DSM関係
事の発端は設計手法・プロジェクトマネジメント手法の一種であるデザインストラクチャーマトリックス法(Design Structure Matrix:DSM)に興味を持ったことでした。
DSMについて調べるため、DSMに関しての唯一の書籍である以下を購入しました。
Design Structure Matrix Methods and Applications (Engineering Systems) (English Edition)
- 作者: Steven D. Eppinger,Tyson R. Browning
- 出版社/メーカー: The MIT Press
- 発売日: 2012/05/25
- メディア: Kindle版
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内容としてはDSMの適用事例集でした。しかも、結果は書かれていますが過程はほぼ端折られています。DSMについての理論的な部分(並べ替えアルゴリズムなど)が全く無いため、初学者には向いていないと思います。といってもこれ以外に他に本は無いのですが……。ハードルは高いですが、理論的な部分を知るにはDSMの学術論文を参照するか、もしくはDSMの基礎理論であるグラフ理論の本を参照するしかなさそうでした。
余談ですが最近この本の日本語版を購入したので読み進めています。自分の英語力が皆無なので洋書と訳書でまるで別の本のような感覚です。
デザイン・ストラクチャー・マトリクス DSM:複雑なシステムの可視化とマネジメント (Engineering Systems)
- 作者: スティーブン・D・エッピンジャー,タイソン・R・ブラウニング,西村秀和,大富浩一,関研一
- 出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会
- 発売日: 2014/10/15
- メディア: 単行本
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グラフ理論
DSMの理論的背景をグラフ理論に求め、以下の本を購入しました。
- 作者: R.J.ウィルソン,Robin J. Wilson,西関隆夫,西関裕子
- 出版社/メーカー: 近代科学社
- 発売日: 2001/10/01
- メディア: 単行本
- 購入: 10人 クリック: 90回
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数式も少なく理解しやすい内容でした。また章末の演習問題に簡単な解答例がついているのが非常に親切でした。結果としてはDSMと関連する内容は少なかったのですがグラフ理論分野の基礎的な話に触れることができて満足でした。
次のステップとして以下の本の購入を検討しましたが、既に絶版で中古価格が1万円を超えて高かったこと、あくまで目的がDSMの理解でグラフ理論に関してそこまで深める必要はないと思いましたので、購入は見送りました。
- 作者: R.ディーステル,根上生也,太田克弘
- 出版社/メーカー: 丸善出版
- 発売日: 2012/06/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 2人 クリック: 4回
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どちらにしろDSMの並べ替えアルゴリズムに関する理解が不足しているように感じたので、グラフ・アルゴリズムが豊富に掲載されている以下の本を購入しました。GWのキャンペーンでkindleで半額でした。
アルゴリズムイントロダクション 第3版 総合版:世界標準MIT教科書
- 作者: Thomas H. Cormen,Clifford Stein,Ronald L. Rivest,Charles E. Leiserson
- 出版社/メーカー: 近代科学社
- 発売日: 2018/01/09
- メディア: Kindle版
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この本はプログラマー必携?洋書のレビュー数も600を超えていたので相当有名な本らしく自分も名前は聞いたことはあったのですが、今まで触ってなかったのでこれを機に購入しました。アルゴリズムの辞書のようなもので擬似コードで記載されています。とりあえずグラフ・アルゴリズム関係の記載が豊富にありましたので満足しました。
ネットワーク関係
DSM関係のプログラムをJuliaやMatlabで制作しようと思ったのですが、関連する存在するライブラリ・関数がネットワーク分析を念頭に置いたものばかりでした。ネットワーク分析関係の用語はグラフ理論の基礎を勉強した程度ではまだまだ未知な部分がありましたので、ネットワーク分析関係の書籍を購入しました。
まずネットで評価の高い下記本を購入しました。
Rでの実装についてかなり詳しく書かれていました。私は普段Rは使わないのですがJuliaやMatlabでもアルゴリズムや関数の名前は通じる部分が多いので大変参考になりました。ただ内容としては実装、つまりツールの使い方にかなりの重きが置かれていまして、ネットワークの性質や理論背景部分についてはあまり詳しくないようでした。
次に以下の本を購入しました。
ネットワーク科学: ひと・もの・ことの関係性をデータから解き明かす新しいアプローチ
- 作者: アルバート・ラズロバラバシ,Albert‐L´aszl´o Barab´asi,池田裕一,井上寛康,谷澤俊弘,京都大学ネットワーク社会研究会
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 2019/02/27
- メディア: 大型本
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値段が9000円超と高価でしたが、素晴らしい本でした。これは先程挙げた本と比べてツールを使用した実装についてはあまり言及されていないのですが、スモールワールド・スケールフリーをはじめとしたネットワークの性質、そしてそれがなぜどのように発生するのか、数式と言葉で詳しく説明してくれます。私は前から複雑系に興味があってネットワーク関係の本も度々触っていたのですが、この本のクオリティは群を抜いています。ただやはり実装については弱いのでRで学ぶデータサイエンスのネットワーク分析は別途必要だと思いました。
今はこの「ネットワーク科学」の内容に感銘を受けてネットワークの実装練習をしているところです。当初の目的であったDSMに戻るのはもう少し先になるかもしれません……
とりとめのない内容になってしまいましたが、今回はここまでにさせてください。